脳神経外科ジャーナル
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頭蓋内硬膜動静脈瘻のガンマナイフ治療(<特集>硬膜動静脈瘻の治療戦略)
木田 義久吉本 真之長谷川 俊典
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2008 年 17 巻 5 号 p. 376-383

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抄録
頭蓋内硬膜動静脈瘻(DAVF)に対するガンマナイフ治療の長期成績を報告した。症例は男性16例,女性8例の24例であり,平均年齢は59.5歳であった.DAVFの部位としては海綿静脈洞7例,横洞-S状洞6例,テント部5例,前頭蓋底2例,頭頸部移行部2例,矢状洞部2例であった.大半(15/24)についてガンマナイフ前に血管内治療が施行されていたが,9例についてはガンマナイフ治療が初回の処置となった。それぞれ病変の平均径13.5mmであり,中心線量と辺縁線量の平均は35.2Gy,19.1Gyであった.ガンマナイフ後,平均して26.8カ月の経過観察が得られており,このうちDAVFの消失が確認されたのは9例,著しく縮小9例,不変4例であった.神経症状の推移についてみると,海綿静脈洞部DAVFにおける眼球突出,chemosisは治療後数カ月で改善し,小脳テントのDAVFにおける頭痛,めまいも早期に消褪していた.明らかな合併症は観察されなかったが,頭蓋内逆流を伴った2例に再出血を生じた.DAVFのガンマナイフ治療により,画像上病変の縮小,消失が確実に得られ,また神経症状も早期に軽快し合併症の発生もなかった.以上の結果から,頭蓋内への逆流を伴わないDAVFはAVM同様,ガンマナイフ治療のよい適応と考えられた.
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© 2008 日本脳神経外科コングレス

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