軽微な外傷を契機として発症した前大脳動脈の解離性動脈瘤の1例について報告する.症例は37歳男性,外傷後2時間を経過して左不全片麻痺を呈した.頭部CT上石前大脳動脈領域に梗塞巣を生じていた.脳血管写では右前大脳動脈A_2部は拡大し,その近位および遠位部は狭窄していた.血管拡大部にはdouble lumen signを認め,前大脳動脈の解離性動脈瘤と診断した.保存的治療を行い,神経学的異常なく退院となった.前大脳動脈の解離性動脈瘤についてこれまで10例の報告があるが,自験例を含めて臨床的特徴,血管写所見,病因,転帰などの考察を加えた