脳神経外科ジャーナル
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原発性トルコ鞍部神経芽腫の1例
山下 真治上原 久生新甫 武也横上 聖貴盛口 清香佐藤 勇一郎丸塚 浩助福島 剛竹島 秀雄
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2011 年 20 巻 11 号 p. 833-840

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抄録
まれな原発性トルコ鞍部神経芽腫を経験したので報告する.症例は75歳,女性.当初偶然に発見されたトルコ鞍部腫瘍であり,無症候性であるため経過観察されていた.2年後,視力視野障害が出現し,傍鞍部に伸展する腫瘍の拡大が認められた.神経内視鏡を用いたTSSに加え,放射線照射,白金製剤を用いた化学療法にて腫瘍縮小効果を得た.原発性トルコ鞍部神経芽腫は,これまでに9例の報告しか存在しない非常にまれな腫瘍であるが,症状,画像所見ともに非特異的で,術前の鑑別診断は困難である.本症例において標準的治療は存在しないが,術後放射線治療に化学療法を加えることが有効である可能性が示唆された.本疾患は,比較的急速に増大する傍鞍部腫瘍の鑑別の一つとして考慮する必要があると考えられた.
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© 2011 日本脳神経外科コングレス

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