2011 年 20 巻 4 号 p. 238-246
医用画像の3次元化が普及しつつある.臨床で広く用いられている1種類の画像検査データから比較的単純な処理で再構築した3次元画像は,空間情報に優れ,構築の簡便さはあるものの,それのみでは解剖学的情報や空間分解能の点において術前情報として不十分である.これに対し複数のモダリティを融合して3次元構築した脳神経外科手術シミュレーションの報告が最近相次いでいる.しかし,マルチモダリティを使用した3次元融合画像は,ワークステーション,画像処理ソフトウェア,および画像構築手法の制限などによっていまだ発展途上の段階である.本報告では,マルチモダリティを使用した3次元融合画像の基礎的知識,構築手法,有用性,展望,およびその限界について臨床症例を提示しつつ検討する.