脳神経外科ジャーナル
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Secondary gliosarcomaの臨床病理学的検討
伊東 民雄尾崎 義丸佐藤 憲市及川 光照中村 博彦田中 伸哉谷野 美智枝長嶋 和郎
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2011 年 20 巻 4 号 p. 289-298

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抄録
今回われわれは,悪性神経膠腫の放射線療法後にgliosarcoma(GS)へ転化した,いわゆるsecondary GS(SGS)の3例を経験し,臨床病理学的検討を行った.3症例はいずれも女性で,年齢は平均44.3歳と比較的若年であった.初回の病理は,GB:2例,AA:1例で,初期治療は開頭腫瘍摘出術後,放射線・化学療法を行った.複数回の再発後よりSGSになったのが2例で,初回再発時よりSGSになったのが1例であった.再発時SGSになるまでの期間は平均13カ月で,SGS後の生存期間は平均6.7カ月,全生存期間は平均19.7カ月であった.病理学的には,1例は軟骨肉腫,2例は線維肉腫成分を有していた.臨床的には線維肉腫成分をもつSGS2例は,肉腫成分が頭皮下・頭蓋外へ進展する傾向を示した.SGSは悪性神経膠腫に対する放射線療法などの後療法後に生じるまれな一疾患である.成因の詳細はいまだ不明であり,今後さらなる検討が必要と考えられた.
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© 2011 日本脳神経外科コングレス

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