脳神経外科ジャーナル
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非外傷性後頭蓋窩解離性脳動脈瘤における先行頭頚部痛の性状の重要性 : 当院における連続57例の検討
渡邊 水樹田中 篤太郎太田 仲郎中戸川 裕一釼持 博昭千村 学小泉 慎一郎藤本 礼尚稲永 親憲平松 久弥山本 貴道杉浦 康仁難波 宏樹花北 順哉堺 常雄
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2011 年 20 巻 5 号 p. 381-390

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抄録

非外傷性後頭蓋窩解離性脳動脈瘤の連続57例で,診断時の発症形式と平均年齢,先行頭頚部痛の時期と性状などを後方視的に検討した.頭頚部痛のみで全体の40%が診断され,SAHや脳梗塞で診断された症例の65%に血管解離痛と思われる先行頭頚部痛を認めた.SAH例と脳梗塞例では先行痛の特徴が異なったが,解離腔の伸展方向の相違とサブスタンスP線維の局在から説明可能である.先行痛を有する症例や,頭頚部痛のみの症例は若年である傾向を認めたが,血管壁の弾性や強度が関与している可能性がある.緩徐発症型であっても,経験したことのない持続する片側性頭頚部痛は解離性脳動脈瘤の可能性があり,早期に画像検査を追加し診断することで,SAHや脳梗塞に至る症例を減らせうる可能性がある.

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© 2011 日本脳神経外科コングレス
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