抄録
【目的】鎖骨下動脈盗血症候群の脳循環動態の特徴を調べるために,脳循環動態をdual table ARG法を用いて評価を行った.【対象と方法】2006年からの3年間にPTA/stentを施行した鎖骨下動脈盗血症候群9例を対象とした.全例,治療前と治療後6ヵ月にdual table ARG法による脳血流定量を行った.【結果】治療前の脳血流予備能(%)は,大脳で40.8±18.4%に対し,小脳で26.9±21.8%であった.治療後,小脳の脳血流予備能は36.4±19.2%と有意な改善を認めた.【結論】^<123>I-IMP SPECT dual table ARG法により,鎖骨下動脈盗血症候群は小脳の脳血流予備能の低下として捉えられる.PTA/stentによる血行再建により,椎骨脳底動脈系の脳循環が改善し症状が改善したものと考えられる.dual table ARG法は治療適応決定の一つの指標になりうると考えられる.