抄録
わが国の医学論文数の動向を知るためにトムソン・ロイター社学術文献情報データベースおよびU. S. National Library of MedicineのPubMedを用いて分析した.わが国の臨床医学および基礎的医学の論文数は,主要国の増加に対し2000年頃から停滞あるいは低下して国際シェアが急激に低下し,相対被引用度も停滞していた.臨床医学および基礎的医学とも地方国立大学での低下が著しく,両者は正の相関を示した.国立大学法人化,大学予算削減,新医師臨床研修に起因する若手医師の流動化等の外的負荷に対応困難な地方国立大学の人的研究インフラ(研究者数や研究時間)が弱体化したことが主因と推測する.