脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
橈骨動脈を用いた健側浅側頭動脈本幹から患側前大脳動脈への"hemi-bonnet bypass"にて急性期血行再建を行った進行性脳梗塞の1例
和田 孝次郎苗代 弘有本 裕彦竹内 誠大谷 直樹長田 秀夫長谷 公洋小林 弘明島 克司
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 21 巻 6 号 p. 489-493

詳細
抄録
左総頚動脈閉塞の進行性脳梗塞症例に対して急性期血行再建術を施行した.左下肢麻痺で発症した86歳女性.24時間後のCT灌流撮影では両側前大脳動脈(ACA)領域および左中大脳動脈(MCA)領域の広範な血流低下を認めた.入院2日後に無動性無言を含む神経学的症状の悪化(NIHSS2→19)を認めたが,MRI diffusion画像では脳梗塞は左ACAおよびMCA分水嶺領域に軽微に認めるだけであった.Willis動脈輪の発達が良好であったため,右橈骨動脈をグラフトとした,健側浅側頭動脈本幹をドナー血管とし患側ACA-A3をレシピエント血管とした"hemi-bonnet bypass"を施行,症状の改善を得た."hemi-bonnet bypass"は頭位変換の必要性がなく,グラフト血管が短くて済むため橈骨動脈を利用できる利点がある.一方,患側ACA-A3をレシピエントとするため,患側MCA領域および健側ACAへの血流は患側ACA-A1および前交通動脈の発達状態に依存する.このためCT血管撮影を用いWillis動脈輪の状態を慎重に評価したうえで,選択する必要があると考えられた.
著者関連情報
© 2012 日本脳神経外科コングレス

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top