2013 年 22 巻 4 号 p. 256-268
ヒト二分脊椎の原因は, 葉酸代謝関連遺伝子異常や母体の糖代謝関連遺伝子異常をはじめとするgeneticな要因や, 抗てんかん剤内服によるNTDリスク上昇などnon-geneticな要因が複合的に関与 (gene-environmental interaction) し, multifactorialであるといわざるをえない. 1998年から小麦製品への葉酸添加が始まった北米では着実に罹患率が低下し, 栄養強化政策は世界各国に広がりつつあるが, 逆に本邦では徐々に罹患率が上昇している. 葉酸によるNTD予防の機序にはepigeneticな遺伝子発現調節の機構が深く関与し, 神経堤幹細胞の増殖や分化にもかかわっている.