2013 年 22 巻 9 号 p. 713-718
CVカテーテルによる損傷で生じた頚部仮性動脈瘤に対して, 外科的治療を行った1例を報告する. 73歳男性, S状結腸穿孔による腹膜炎で前医にて緊急開腹術が行われた. その際, CVカテーテルの左内頚動脈への誤挿入があった. 術後, 嗄声が出現し, 精査で左内頚動脈に仮性動脈瘤を認め, 当院紹介となった. 血管撮影検査で, 内頚動脈起始部に外向き最大径18mmの動脈瘤を認めた. 直達手術による動脈瘤の切除と瘤開口部の縫合を試みたが, 周囲との癒着が強く困難であった. 同病変を正常血管とともに切除し, ePTFEリング付きグラフトに置換した. 術後経過は良好であった. ePTFEリング付きグラフトは, 頚動脈の再建材料として有用と考えられる.