抄録
開頭部位とは離れた場所に発生した硬膜動静脈瘻の2症例を報告する. 症例1 : 41歳の肥満女性. 破裂前交通動脈瘤に対するクリッピング後20日目に, 両側円蓋部に硬膜動静脈瘻が発生した. 経過観察を行い1年後の血管撮影で自然消失を確認した. 症例2 : 69歳女性. 未破裂左内頚動脈瘤に対するクリッピング後8カ月目に, 左横-S状静脈洞部硬膜動静脈瘻が発生した. 塞栓術を行い, ほぼ完全閉塞を得た. 症例1では肥満による術中の静脈圧上昇が, 症例2では元々存在した静脈洞狭窄に加え, 頚部頚動脈確保時の頚静脈圧迫が静脈圧上昇を招き, 硬膜動静脈瘻発生の原因になった可能性があると推察した.