抄録
67歳, 女性. 水頭症による頭蓋内圧亢進症状で発症し, 小脳橋角部と脳室内に多発病変を認め, 脳室内病変に対する内視鏡下生検にて類表皮囊胞の診断を得た. シャント術のみで経過観察としたが, 腫瘍増大を認め, 後頭蓋窩の腫瘍本体の摘出にて扁平上皮癌の診断に至り, 類表皮囊胞の悪性転化が示唆された.
発症時点で無菌性髄膜炎や水頭症を合併するなど, 非典型的所見が複合的にみられたため診断に苦慮し, 髄腔内播種を呈し, 放射線・化学療法を行うも経過不良であった. 類表皮囊胞の悪性転化はまれとされるが, 当初より造影効果を有するなど, 悪性化を示唆する所見も認めており, 腫瘍本体の積極的摘出にて早期診断・治療につながった可能性がある.