脳神経外科ジャーナル
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症例報告
頭蓋内多発病変と水頭症で発症し悪性転化の経過をたどった類表皮囊胞の1例
中井 友昭岩橋 洋文森下 暁二藤本 昌代田代 敬相原 英夫
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2015 年 24 巻 9 号 p. 632-640

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抄録
 67歳, 女性. 水頭症による頭蓋内圧亢進症状で発症し, 小脳橋角部と脳室内に多発病変を認め, 脳室内病変に対する内視鏡下生検にて類表皮囊胞の診断を得た. シャント術のみで経過観察としたが, 腫瘍増大を認め, 後頭蓋窩の腫瘍本体の摘出にて扁平上皮癌の診断に至り, 類表皮囊胞の悪性転化が示唆された.
 発症時点で無菌性髄膜炎や水頭症を合併するなど, 非典型的所見が複合的にみられたため診断に苦慮し, 髄腔内播種を呈し, 放射線・化学療法を行うも経過不良であった. 類表皮囊胞の悪性転化はまれとされるが, 当初より造影効果を有するなど, 悪性化を示唆する所見も認めており, 腫瘍本体の積極的摘出にて早期診断・治療につながった可能性がある.
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© 2015 日本脳神経外科コングレス

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