抄録
重症頭部外傷の集中治療において頭蓋内圧モニターの使用頻度は年々減少している. しかし, 若年者や脳腫脹の強い症例には積極的に使用されている. 経過中の頭蓋内圧の最高値が, 20mmHg以下であれば転帰良好率は有意に高く, 40mmHgを超えると死亡率が有意に上昇していた. 一般的には脳室カテーテルからの頭蓋内圧測定が推奨されているが, 日本では脳実質内での測定が多い. 頭蓋内圧亢進時には, 薬物治療から減圧開頭術までさまざまな治療法がある. 頭蓋内圧モニターを施行している患者群では, このような治療が積極的に行われており, 死亡率は有意に減少しているが, 転帰良好率の改善には至っていない. 今後, 脳神経外科医や神経集中治療医によるチーム医療が治療成績改善に寄与すると期待する.