2017 年 26 巻 11 号 p. 798-805
近年次世代シークエンス技術の登場により, 大規模な癌ゲノム, エピゲノム解析が急速に進み, ビッグデータが次々と報告されている. いまだ治癒困難な予後不良腫瘍であるグリオーマは, 最も早くから網羅的な解析が着手され, その分子生物学的背景の全容が明らかになってきた. グリオーマには大きく性質の異なる腫瘍群が混在しており, それぞれの腫瘍形成におけるkey moleculeが同定されつつあり, 有用な新規治療標的として注目されている. 近い将来, グリオーマ治療の概念は大きく変化する可能性がある. 本稿では欧米や本邦から報告されているグリオーマの最新研究成果を読み解き, 近い将来訪れるであろうグリオーマの次世代型治療について考察する.