2017 年 26 巻 11 号 p. 830-834
突然の失語と右片麻痺で発症した13歳男児例. 来院時, 顔面を含む右片麻痺, 失語と感覚障害があり, NIHSSは8点であった. また高度の心肥大があり, 拡張型心筋症が疑われた. MRIで, 左放線冠と基底核領域にDWI高信号域, MRAで左中大脳動脈起始部の閉塞を認めた. 優位半球側の中大脳動脈閉塞で, 発症後4.5時間にrt-PAを静注した. 投与後NIHSSは4~8点の間を変動した. 脳血管撮影で左中大脳動脈本幹は再開通していたが, 左角回動脈は閉塞していた. Penumbraを用いた血栓回収により角回動脈は再開通し, NIHSSは0点となり後遺症なくmRS 0で退院した. なお, 入院中の精査にて不整脈原性心筋症を指摘され, 心原性脳梗塞と判断した. 小児脳梗塞はまれな疾患であるが, 合併症なくrt-PA静注と血栓回収術が奏効した症例であり報告する.