2016 年 26 巻 2 号 p. 143-148
頭蓋形成術直後に脳浮腫を認めた症例を報告する. 症例は57歳, 女性. くも膜下出血に対し開頭クリッピング術, 外減圧術が施行され, 第83病日に頭蓋形成術が施行された. 術中は問題なく手術が終了したが, 術直後の頭部CTにて脳幹浮腫を認め, その後大脳, 小脳と浮腫は拡大し, 全脳虚血となった. 術前に骨欠損部の陥凹, 正中偏位を認め無症候性のsinking skin flap syndrome (SSFS) であったと考えられた. 脳浮腫が生じた原因は自動調節能の低下, reperfusion, 皮下ドレーンによる陰圧, 静脈うっ滞, SSFSと考えられる. この合併症の致死率は高い. 手術は比較的容易であり, 合併症の多くは痙攣, 感染, 硬膜外血腫であるが, 脳浮腫が生じる可能性もあり, 術前に十分な説明をする必要があると考えられた.