脳神経外科ジャーナル
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症例報告
穿通性外傷性総頚動脈瘤に対してステント留置・コイル塞栓術を施行した1例
島内 寛也藍原 正憲相島 薫清水 立矢登坂 雅彦好本 裕平
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2017 年 26 巻 5 号 p. 370-374

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抄録

 外傷性総頚動脈瘤に対してステント留置術が有効との報告があるが, その数は少なく, 治療法はさまざまである. 症例は78歳, 男性. 脚立から転落し, 使用中の剪定鋏が右頚部へ穿通した. 開放創からの出血は圧迫にて止血したが, 徐々に増大する第5頚椎高位の仮性総頚動脈瘤に対する破裂予防治療が必要となった. 瘤内コイル塞栓術と整流効果を図って頚動脈用ステント3枚を留置し, 動脈瘤の消失を得た. 瘤の再発はなく, mRS 0で退院した. 頚動脈損傷に対する治療法はさまざまだが, 本症例ではコイル・ステントによる治療が有効であった. 抗血栓治療の併用や再出血・再治療の問題はあるが, 急性期の出血予防として有効な治療法の1つと考えられた.

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© 2017 日本脳神経外科コングレス
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