脳神経外科ジャーナル
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特集 脳神経外科診療のトピックス
静脈血栓塞栓症治療の最前線
山本 剛
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2018 年 27 巻 5 号 p. 370-374

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抄録

 近年, 本邦においても静脈血栓塞栓症 (venous thromboembolism : VTE) の治療に直接作用型経口抗凝固薬 (direct oral anticoagulant : DOAC) が選択可能となった. VTEの初期治療方針は早期の予後リスクに基づいて決定する. 肺塞栓症によるショック例には血栓溶解療法を行う. 非ショック例には抗凝固療法を行うが, その方法として, (1) 未分画ヘパリンやフォンダパリヌクスの非経口薬からワルファリンへ橋渡しする従来法, (2) 非経口薬投与後にDOACの1つであるエドキサバンへ切り替える方法, (3) DOACのリバーロキサバンあるいはアピキサバンを初期強化用量にて開始し, その後維持量にて投与する単剤治療法がある. DOACを用いた抗凝固療法は, 従来治療の欠点を補い, 投与レジメンの標準化, 初期からの外来治療が可能になるなど, VTE管理の適正化をもたらした.

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© 2018 日本脳神経外科コングレス
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