2018 年 27 巻 7 号 p. 539-547
がんの診療において, 「脳転移をいかにコントロールするか」 が重要な臨床課題とされるようになった. 脳転移治療後もQOLを維持しつつ, 延命や治癒を目標とする治療が求められる機会が増えている. 患者の臨床像は多様であるため, 「最適な個別化治療」 の選択のためには, 正確に予後予測を行う必要がある. 術後照射については, 晩期神経毒性の点から全脳照射を回避し, 定位照射でのアジュバント治療も選択できるようになった. 近年, 新たな薬剤が次々と開発され, 転移性脳腫瘍に対しても効果を示すことが明らかとされてきており, 手術や放射線治療に分子標的薬・免疫チェックポイント阻害剤による治療を加えた集学的治療が重要となっている.