脳神経外科ジャーナル
Online ISSN : 2187-3100
Print ISSN : 0917-950X
ISSN-L : 0917-950X
特集 小児脳神経外科
小児脳腫瘍の現在までの知見と近未来展望
近藤 聡英鈴木 まりお藤村 純也秋山 理新井 一
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 28 巻 4 号 p. 211-219

詳細
抄録

 小児脳腫瘍分野は, 診断解析のみならず治療においても目覚ましい発展を遂げつつある. 特に欧米諸国から報告される症例を集約した解析技法により1つのentityと考えられていた腫瘍群が複数の腫瘍性格をもつことが明らかになってきた. 一方で, この細分化が直ちに治療の細分化および個別化につながっていないのが現状である. 腫瘍治療の多くは (1) 明確なる診断, (2) 診断に基づいたリスク分類, そして (3) 治療強度の設定という段階を経る. 特に治療強度の設定には多くの治験を要する最も重要なステップとなる. この治療成熟度の観点からは, 近年の目覚ましい発展の多くは, 診断の細分化とリスク分類までに留まっている.

 本稿では, 代表的な小児脳腫瘍の現在までの知見に対する概論に, 治療成熟度が現在どの段階にあるかを明記することで, 小児脳腫瘍の現状と近未来に関し記述した.

著者関連情報
© 2019 日本脳神経外科コングレス
前の記事 次の記事
feedback
Top