脳神経外科ジャーナル
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症例報告
Persistent primitive ventral ophthalmic arteryの起始部に生起した破裂脳動脈瘤の1例
前田 昌宏岩本 哲明郭 樟吾自見 康孝
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2020 年 29 巻 1 号 p. 38-43

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抄録

 57歳女性, 右内頚動脈-後交通動脈分岐部動脈瘤のクリッピング術を施行した際, 前大脳動脈から分岐する眼動脈と, その起始部に小動脈瘤を認めた. 術後5日目に眼動脈起始部瘤が増大・破裂をきたし, クリッピング+ラッピング術を施行した. 眼動脈はテンポラリークリップにより血管壁の菲薄化, 紡錘状拡張が出現したためラッピング術を追加した. 前大脳動脈起始の眼動脈に生起した動脈瘤は渉猟し得るかぎり報告がない. 先天的な破格血管は中膜の菲薄化や欠損など組織学的脆弱性を伴う. 自験例も同様の先天的脆弱性により軽微な手術操作から動脈瘤の増大・破裂に至ったと推測された. 破格血管を有する症例ではこの血管脆弱性に留意する必要がある.

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© 2020 日本脳神経外科コングレス
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