2020 年 29 巻 7 号 p. 513-518
Juvenile xanthogranuloma (JXG) は小児頭頚部の皮膚に多く発生する良性腫瘍で, 神経系に発生することはまれである. われわれが経験した頭蓋内単独JXGの症例を, 文献的考察を交えて報告する. 症例は14歳女性, 運動後の一過性頭痛と右視野がチカチカする発作を主訴に受診した. 左後頭葉底面に浮腫を伴う病変を認め, 開頭腫瘍摘出術を施行した. 病理所見で非ランゲルハンス細胞性の組織球症と考えられ, 臨床像と併せてJXGの診断となった. 本症は全摘出されれば再発はなく予後良好とされているが, 全身性に多発する症例もあり, 化学療法が必要となることもある. 長期予後も不明で今後慎重なフォローが必要と考えられた.