2020 年 29 巻 8 号 p. 553-559
頭蓋底髄膜腫は, 脳深部に発生していること, 脳神経や動静脈が圧排されていること, 脳幹浮腫例が存在することが特徴である. 治療戦略立案にあたって, さまざまな要因を考慮しなければならないが, 頭蓋底発生であっても到達できない部位はないため, 基本的には非頭蓋底発生の髄膜腫と同様に, 手術, 放射線治療, またはこれらを組み合わせた集学的治療を行う. 手術が第一選択であり, 神経機能を温存した最大限の摘出を原則として全摘出を目指す. 高精細な定位放射線治療の成績も良好であり, 高齢者や摘出困難な髄膜腫に対してよい適応である. したがって, 意図的に腫瘍を残存させ, その後に定位放射線治療を施行するというのも賢明な選択肢である. 今後期待される治療としては, boron neutron capture therapy (BNCT) と粒子線治療であり, 現在施行されている再発高悪性度髄膜腫に対するBNCTの医師主導治験の結果が待たれる.