脳神経外科ジャーナル
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慢性硬膜下血腫の成因における局所および全身の凝固線溶能亢進の関与について
山下 弘一関野 宏明林 龍男田口 芳雄坂本 辰夫
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1994 年 3 巻 5 号 p. 390-397

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抄録
慢性硬膜下血腫例の血腫内容液におけるfibrinogen, D-dimer, A2PI, PLN-A2PICを測定し,これらの因子は局所線溶能の程度を評価する手段としては使用しがたいことを示した.また,慢性硬膜下血腫例を中心に末梢血液中のFPAとFPBを測定し,健常高齢者では凝固線溶能が潜在的に亢進した状態にあること,軽症頭部外傷によって凝固線溶能が若年者に比しより高く上昇すること,慢性硬膜下血腫例では線溶能亢進が持続していることを示し,軽症頭部外傷により形成された硬膜下液貯留から慢性硬膜下血腫へと進展する際に,全身における線溶能亢進が関与し,慢性硬膜下血腫が高齢者に多くみられる大きな原因になっているものと考えられた.
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© 1994 日本脳神経外科コングレス

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