2021 年 30 巻 4 号 p. 280-286
医学の発展は数多くの基礎・臨床研究成果によってもたらされており, 脳神経外科の発展も例外ではない. しかしながらわが国では近年細分化された専門性への志向が高まり, それに反するように研究者キャリアを選択する人材の伸び悩みが生じている. 一方, 研究を通じて得られる視点や経験などは臨床的能力の底上げにつながることが期待され, また研究を通じて学ぶことも多く存在する. 本稿では医学研究の目的や研究を通じて習得すべき点, 研究者キャリアの展望などについて筆者自身の経験を照らし合わせつつ概説する. また医学研究成果がどのように臨床につながるか, 脳腫瘍研究を例に提示する.