2021 年 30 巻 8 号 p. 570-578
現在においても, 頚椎変性疾患に対する手術治療は頚椎前方除圧固定術ならびに椎弓形成術 (または椎弓切除) がゴールドスタンダードであるが, 頚椎変性疾患に対する最近の話題として, 前方手術法の新しいインストルメントである頚椎人工椎間板が本邦で使用可能となった. 手術椎間の可動性を保持できる可能性があり, 隣接椎間障害の回避が期待されている. 頚椎椎弓形成術 (または椎弓切除) は前弯が保たれている症例に対して適応となるが, 適応症例にもかかわらず術後の治療成績が不良となる症例が認められるようになってきた. そこでcervical spine sagittal balanceという概念が提唱された. 頚椎の前方偏位を表すC2-C7 sagittal vertical axis, 水平視の指標となるchin-brow to vertical angle, 頚椎前弯の指標となるT1 slope, cervical lordosisなどが頚椎矢状面バランスパラメータとして利用され術式選択の指標になりつつある.