脳神経外科ジャーナル
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症例報告
全身性エリテマトーデス, 関節リウマチ, 間質性肺炎に対してミコフェノール酸モフェチル内服中に発症した頭蓋内リンパ球増殖性疾患の1例
土屋 亮輔三島 一彦佐々木 惇本間 琢水野 玲奈内田 栄太白畑 充章鈴木 智成安達 淳一西川 亮
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2022 年 31 巻 1 号 p. 42-49

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抄録

 症例は69歳女性. 30年来の全身性エリテマトーデス, 関節リウマチに対し複数の免疫抑制剤が使用されていた. 右不全片麻痺が出現し, 造影MRIで左頭頂葉にリング状の腫瘍性病変を認めたため開頭腫瘍摘出術を施行, 経過および病理所見から免疫抑制剤内服による医原性リンパ増殖性疾患と診断, 被疑薬として内服中のミコフェノールの可能性が考えられた. 術後ミコフェノールを中止したが残存腫瘍の縮小が認められないためリツキシマブ投与, さらに局所放射線照射を施行した. 照射2カ月後の造影MRIで腫瘍は消失した. 本症のようにミコフェノール内服中に発症する中枢神経原発医原性リンパ増殖性疾患については少数の報告しかないが, 常に合併症として念頭に置く必要がある.

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© 2022 日本脳神経外科コングレス
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