2022 年 31 巻 12 号 p. 780-785
生後1カ月時に脳室腹腔シャント歴のある19歳の男性が頭痛と嘔吐を主訴に受診した. 頭部CTで水頭症の悪化を認め, バルブ圧の変更ができなかったためシャント機能不全を疑い, バルブおよび脳室側カテーテルのみの再建術を行ったが, 症状は改善しなかった. シャント造影検査を行うと鎖骨上でカテーテルがΩ状に屈曲していた. 再手術にて屈曲したカテーテル周囲の石灰化組織を除去し, カテーテルを直線化することで症状は改善した.
カテーテルから遊離した成分により皮下組織の炎症が惹起されると, 周囲の皮下組織に石灰化が進行することがある. 本症例は腹腔側カテーテルの交換は行わず, 周囲組織の除去のみで良好な結果が得られた.