脳神経外科ジャーナル
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症例報告
イスラム教徒の診療において脳神経外科医が注意すべき薬剤および医療材料
大野 貴都岡田 健遠藤 乙音藤井 健太郎西堀 正洋川㟢 裕一
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キーワード: Islam, Muslim, animal-derived products
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2023 年 32 巻 5 号 p. 318-323

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抄録

 症例はヨルダン人の11歳男児. 突然の意識障害を発症し, 精査にて小脳脳動静脈奇形からの出血と診断し, 緊急で開頭血腫除去術および外減圧術を施行した. 症状は徐々に改善し, 頭蓋形成術を行ったのち自宅退院となった.

 患者および父親はイスラム教徒であった. イスラム教では豚肉やアルコールなどの摂取が禁じられているが, ゼリーや醤油などそれらを材料として含み得る飲食物も忌避されるため, 提供する病院食にも難渋した. また, 脳神経外科で使用する薬剤, 医療材料にも, ヘパリンなど動物由来の成分を含むものが多くあり, 使用に配慮する必要があった.

 脳神経外科で扱う動物由来成分を含む医療材料, 薬剤についてまとめ, 報告する.

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© 2023 日本脳神経外科コングレス

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