抄録
外傷性亜急性硬膜下血腫の自験例8例のCT像は次のように変化した.受傷直後は高吸収値を示す急性硬嚥下血腫であり,3〜7日にいったん縮小し,7〜14日になると低または等吸収値の部分が増大した.MRIでは脳表側の形の不整がみられ,1例で脳表が硬嘆にテント状に癒着していた.手術では,全例に血腫外膜を認めたが,内膜はみられなかった.5例の出血源は皮質動脈であった.血腫下のクモ膜の断裂孔を1例に認めた.血腫外膜の病理学的検討を行った4例中3例に,毛細血管からの漏出性出血がみられた.亜急性期の血腫増大機序としては,残存血腫に加え(1)髄液の流入,(2)血腫外膜からの血液成分の移行,漏出性出血などの関与が考えられた.