脳神経外科ジャーナル
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本邦における解離性脳動脈病変の研究 : 非外傷性頭蓋内病変の検討
山浦 晶小野 純一久保田 基夫
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1995 年 4 巻 2 号 p. 189-192

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抄録

非外傷性頭蓋内解離性動脈病変につき,本邦の未報告80例を1992年からの約1年間に集計し,すでに文献に報告された本邦例188例と比較検討した.これらの問に大きな差はなく,合わせた268例より本邦の実態を知ることができる.本邦例のプロフィルは以下の通りである.年齢は40歳代にピークのある分布を示し,平均年齢は48歳である.内頸動脈系病変ではより若く,また出血例ではより高齢となる傾向を認めた.男性は女性の2倍以上の比率で罹病する.病変部位は90%以上が椎骨脳底動脈(VB)系にある.全体の60%がくも膜下出血で発症した.特にVB系病変に出血するものが多い.脳血管撮影でpearl and string signが約半数で認められた.手術は約60%に施行され,出血例ではより高率に施行された.病理所見は,中膜と外膜間での解離が最も多かった.転帰は76%が良好で,死亡率は16%である.死亡率は出血例で22%,非出血例で8%である.

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© 1995 日本脳神経外科コングレス
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