脳神経外科ジャーナル
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脳神経外科領域の難治性感染症におけるpH4処理酸性ヒト免疫グロブリン併用療法
工藤 千秋池上 容杉浦 和朗
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1995 年 4 巻 6 号 p. 533-537

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抄録
脳外科重症感染症に対するpH4処理酸性ヒト免疫グロブリン(PG4)と抗生物質の併用療法による臨床的・細菌学的効果を検索した.抗生物質の単独投与に抵抗した,脳外科術後重症感染症14例(髄膜炎,肺炎,皮下膿瘍)と非手術患者の重症感染症6例にPG4(5g/回/日,3日間)を点滴静注した.遷延化した重症術後髄膜炎の1例にはPG4の髄注(50mg[1m1]/回/日,3日間)を行った.結果は19例(95%)の症例で臨床的に高い有効性が認められ,細菌学的には5例(25%)で細菌が消失し,10例(50%)で細菌が減少した.髄腔内投与をした髄膜炎症例も速やかに軽快治癒した.全例において副作用は認められなかった.PG4は完全分子型を保持しているためオプソニン効果を発揮しやすく,宿主免疫低下時には抗生物質との併用による受動免疫療法の有効性が示唆された.
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© 1995 日本脳神経外科コングレス

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