脳神経外科ジャーナル
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低体温療法により良好な経過を得た最重症頭部外傷の1例
黒木 一彦魚住 徹有田 和徳中原 章徳大林 直彦溝上 達也大庭 信二栗栖 薫大谷 美奈子佐藤 秀樹
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1995 年 4 巻 6 号 p. 548-553

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抄録
重症頭部外傷例に対し,ブランケットを用いたmildな低体温治療を行い,良好な成績を収めた症例を報告する.症例は33歳,男性.乗用車にはねられ受傷した.来院時意識レベルはGlasgow Coma Scale 4, CTにて左急性硬膜下血腫を認めた.開頭前の頭蓋内圧は70mmHg,頸静脈酸素飽和度は36%と著明な頭蓋内圧亢進とそれに伴う脳虚血の状態であった.血腫除去術後ブランケットを用いて鼓膜温を32〜33℃に維持するmildな低体温治療を約6日間行った.その後患者は若干の感覚性失語を残す程度で,明らかな麻癖を残すことなく,日常生活を送れるまでに回復している.
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© 1995 日本脳神経外科コングレス

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