抄録
顕微鏡下手術に用いる従来のマイクロ尖刀に可変式関節を設け,あらゆる方向から目的部位に進入可能な改良型マイクロ尖刀を試作した.その主な目的はきわめて狭いスペースでも術者の目線と顕微鏡の光軸とは無関係に操作することにより,過度の脳圧排を回避することが可能で,結果的に手術操作による脳損傷を最小限にとどめるところにある.現時点で未解決の問題は関節の安定性であるが,試作以後6カ目を経たところ,いわゆる「緩み」や「ぶれ」は経験していない.6例の脳血管障害および深部脳腫瘍においてこのマイクロ尖刀を用い,満足のいく結果を得た.