1997 年 6 巻 9 号 p. 604-609
大脳の運動あるいは言語中枢の近くの腫瘍22例を摘出する際に,針麻酔を併用した局所麻酔下にて開頭し,双極電気刺激の反応をみながら手術を行った.反応がなかった17例申4例で手術の最終段階で症状が悪化した.知覚反応が先行し,運動反応の閾値が高い2例は全例,術後に症状が悪化した.反応がある部分を避けるか,あるいは縮小手術を行った2例では無事であった.欠損症状は次第に回復した.本法は刺激により錐体路を確かめながら手術を行うことに加えて,常に患者との対話により機能障害の出現を確かめられるので,より綿密なモニタリングにより機能障害を減らすことが可能であり,有用安全な手術法である.