1998 年 7 巻 10 号 p. 609-614
海綿状血管腫3症例を報告し, さらに死体脳を用い, アプローチに必要な外科解剖について検討を加えた.腫瘤は3例とも筋円錐内に局在し, うち2例では 視神経を内上方に圧排し, 1例は視神経を外上方に圧排していた.腫瘍摘出にはfronto-orbital approachで, 眼窩内へは, 2例で眼瞼挙筋, 上直筋と外直筋の間よりの外側進入法, 1例で上斜筋と眼瞼挙筋, 上直筋の間よりの内側進入法で凝固手法を用い一塊として摘出した.術後眼球運動障害, 瞳孔不同を認めたが, 数カ月後には軽快し, 軽度の瞳孔不同のみ残存した.本術式では十分な視野が得られ, 合併症も許容範囲であり, 有用なアプローチである.