脳神経外科ジャーナル
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無作為化対照試験 : 外科治療が内科的治療に勝るという証拠を得るための方法論
森 悦朗
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2000 年 9 巻 6 号 p. 409-415

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抄録
臨床的な診断や治療は, ともすれば個人の経験や勘, 慣習, 権威者の意見に基づき, また単に動物実験より類推した論理で行われ, 独断, 思い違いや思いこみ, 憶測などの不確かな要素が入っている.一方, 不適切に行われた臨床研究にはさまざまなバイアスが介在する.それによって歪められた結論は臨床医を誤った方向に導きかねない.evidence-based medicine(EBM)は研究成果や実証的, 実用的な根拠の評価の技術として近年急速に注目を集めている.EBMは臨床実地の場面で, 患者にその治療や診断などの医療行為を行ってもよいものかどうかを既存の知見を用いて意志決定を行うための技術であるが, 新しい知見を得ようとする研究者の立場である時は, EBMを理解したうえで臨床研究を行えば, 利用者である臨床医から高く評価されるような知見を得ることができることを意味する.治療的介入の臨床研究の中でも, 無作為化対照試験が最も証拠としての価値が高く, 系統的バイアスがないようにするためのさまざまな技術が開発されている.高い水準の証拠を得るために, どのような臨床研究を行えばよいかについて, 臨床疫学的考え方を中心にしてJapan EC-IC bypass Trialを例にあげながら論じた.
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© 2000 日本脳神経外科コングレス

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