抄録
大孔を開放し, 後頭顆近傍の骨削除を加える手術法に関して, その手技およびそれぞれの骨要素の有無による術野の違いを解説した.開頭により大孔を開放したのみでは, 大孔外側部の骨の高まり(頸静脈結節後部)が前方視界の邪魔となる.顆窩に顆導出静脈を見つけ, それを追いながら頸静脈結節後部をドリルすることにより下部小脳橋角部・脳幹前方までの視野が展開される.発達した頸静脈結節頂点を削除するためには, 手前の硬膜が挙上できないため, 後頭顆後内側部も削除しドリルするための空間を下方に作る必要がある.後頭顆後内側部を舌下神経管まで削除することにより椎骨動脈周囲の空間が広がる.どこの削除が必要かは症例ごとに決定すべきである.