日本臨床整形外科学会雑誌
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ステロイド性骨粗鬆症に対するデノスマブによる骨密度への効果 -ビスホスホネート系薬剤との比較-
吉井 一郎
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キーワード: 骨脆弱性, 骨折, 薬剤介入
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2017 年 43 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

背景と目的:ステロイド性骨粗鬆症は,積極的な治療介入が必要とされる.その第一選択薬はビスホスホネート製剤(以下ビス)であるが,近年,デノスマブ(以下デノス)も注目を浴びている.ステロイド性骨粗鬆症の骨密度に対する両者の効果を比較検討した.

方法:ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン:2014年改訂版の薬物療法開始の基準を満たした患者を対象とした.無治療群(N群)と,治療介入群として当初よりビスで治療したBB群,ビス後デノスに変更したBD群,デノスで治療したDD群,デノス後ビスに変更したDB群を抽出し,ステロイド投与を開始した時,ステロイド性骨粗鬆症に対する治療を開始した時または薬剤変更から6カ月後の腰椎,大腿骨頚部と大転子部の骨密度を測定し,それらの変化を統計学的に比較検討した.

結果:149例が抽出され,その内訳は,N群48例,BB群24例,BD群22例,DD群21例,DB群34例であった.治療開始時または薬剤変更から6カ月後にBD群を除くすべての治療介入群で腰椎の骨密度が上昇した.大腿骨の骨密度は,BD群において薬剤変更後に上昇に転じた.

考察:デノスにはビスと同様の骨密度上昇効果があると考えられた.

結論:デノスは,ステロイド性骨粗鬆症治療の第一選択薬となり得る.

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© 2017 一般社団法人日本臨床整形外科学会
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