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2023 年 48 巻 1 号 p.
o1-o2
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
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2023 年 48 巻 1 号 p.
c1-c5
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
オープンアクセス
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吉井 一郎
2023 年 48 巻 1 号 p.
1-6
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:既存椎体骨折(以下pr-VF)と腹部大動脈石灰化(以下AAC)の関係を,統計学的に解析した.
方法:当院に来院,もしくは入院した患者の腰椎側面レントゲン写真より,AACとpr-VFの有無を確認した.加えて,患者の臨床的背景を抽出し,それぞれの因子を独立変数とし,AAC,pr-VFそれぞれを従属変数と独立変数として,各々の相関について線形回帰分析を用いて解析した.
結果:931例が対象となった.pr-VFと有意の相関を示したのは,女性,加齢,腰椎の低骨密度,AACあり,認知機能低下であった.一方,AACと有意の相関を示したのは加齢,大腿骨頚部の低骨密度,pr-VFあり,慢性閉塞性肺疾患併発,睡眠薬常用であった.
考察:AACとpr-VFは相互に密接な相関があり,その他の要素では,加齢がそれぞれに相関した.
結論:AACとpr-VFの間には,それぞれの原因となる共通の要素が潜んでいると思われる.
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鷲見 信清, 萩 健太朗, 木戸 健司
2023 年 48 巻 1 号 p.
7-13
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
緒言:2型糖尿病による対称性多発性神経障害を合併し間欠跛行を呈した腰部脊柱管狭窄症に対し,局麻で低侵襲的な脊髄電気刺激法を施行した.客観的に脊髄機能評価可能な中枢運動伝導時間,馬尾伝導時間等の電気生理検査を併用し,興味ある知見を得たので報告する.
症例:62歳男性.腰痛,両下肢痛,間欠跛行,足部知覚障害が見られ,magnetic resonance imaging(MRI)所見でL 2/3脱出ヘルニアと腰部脊柱管狭窄を認めた.筋電図検査で中枢運動・馬尾伝導時間は遷延し皮質脊髄路・馬尾障害が疑われた.術後3ケ月で除痛と運動知覚機能改善が見られ,中枢運動・馬尾伝導時間の回復傾向が認められ,歩行障害は改善した.
考察:病巣部の器質的圧迫を侵襲的に除圧することなく脊髄電気刺激により症状の改善が認められ,脊髄ニューロンの賦活化,可塑性などが示唆された.
結語:糖尿病を合併した腰部脊柱管狭窄症に,脊髄電気刺激と客観的脊髄機能評価可能な電気生理検査は有益と考えられる.
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横村 伸夫
2023 年 48 巻 1 号 p.
15-21
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:2005年から2011年まで,当院で手術した術後10年から16年の手根管症候群(carpal tunnel syndrome,以下CTS)について,その臨床症状と電気生理学的検査を検討した.
対象と方法:同期間の手術例は101症例131手で,直接診察や電気生理学的検査を行えた39例53手を対象とした.手術は全例筆者が行い,局麻下に小皮切による手根管開放術を行った.電気生理学的検査は,神経伝導速度(nerve conduction velocity,以下NCV)を行い,短母指外転筋の複合筋活動電位(compound muscle action potential,以下CMAP)の運動神経遠位潜時(distal motor latency,以下DML)と,知覚神経伝導速度(sensory nerve conduction velocity,以下SCV)を計測した.
結果:再発,再手術例はなかった.術前しびれを有していた53手中,52手でしびれは消失した.筋委縮を有していた16手中,14手は回復していた.DMLやSCVは,術後3ヵ月から急速な改善を示し,術前CMAPの導出不可の重度障害例も,大部分が長期的には改善していた.
結語:電気生理学的検査は,10年超という術後長期間においても経年的な劣化はわずかであり,しびれや痛み,筋委縮の改善など臨床症状を反映していた.
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大森 弘則, 野坂 小百合, 栗田 健太郎, 魚谷 幸世
2023 年 48 巻 1 号 p.
23-29
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:変形性膝関節症(knee osteoarthritis,以下KOA)に対するAutologous Protein Solution(以下APS)治療の有効性について調べた.
方法:APSを投与した310膝に対して,APS投与前と投与後の1~24か月でNRS(numerical rating scale)とKOOS(knee injury and osteoarthritis outcome score)による評価を行い,フォローアップ率と経時的変化を全症例およびKellgren-Laurence(以下KL)分類のgrade 2/3と4に分けて検討した.
結果:全症例のNRSとKOOSはAPS投与前より有意に改善した.KL4のフォローアップ率はKL2/3より有意に低かった.KL2/3のNRSとKOOSはAPS投与前より有意に改善したが,KL4では有意な改善はなかった.
結論:APS治療はKOAの中でも特にKL2/3に対して有効であった.
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吉岡 洸一郎, 石井 義則, 鈴木 沙也加, 小林 聖弥, 野口 英雄, 佐藤 潤香
2023 年 48 巻 1 号 p.
31-37
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:日本人男性は女性よりも健康寿命が短く,平均寿命との差も大きい.本研究では,自立歩行可能な80歳以上の男性高齢者がどの程度の身体機能を有しているかを調査した.
方法:対象は,2019年6月1日~2021年6月1日の2年間に当院を訪れ,「80歳以上の男性における運動器機能評価」に参加した自立歩行可能な男性120名とし,認知機能と7つの身体機能測定を行った.
結果:測定結果は,全ての項目で同年代と比較し,同等または高値であった.自立した歩行能力を有することで,高い身体機能の維持が可能になることが示唆された.
結論:得られた測定値は,80歳未満の男性や医療従事者に対して,自立歩行能を維持し健康な80歳を迎えるために必要な身体機能の目標値となりえる.
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久保田 聡, 久保田 亘
2023 年 48 巻 1 号 p.
39-42
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:骨粗鬆症性椎体骨折における,遷延治癒を来す因子について検討した.
方法:脊椎X線像とmagnetic resonance imaging(以下MRI)で脊椎椎体骨折と診断し,腰部固定帯を用いて外固定した76例99椎体を対象とした.受傷後3ヵ月のX線像で,遷延治癒(vacuum cleft形成)症例を遷延治癒群(23例)とし,骨癒合症例を骨癒合群(53例)とした.
結果:遷延治癒群は,MRIの椎体内高・低信号域所見が骨癒合群と比べて有意に多かった.遷延治癒椎体は26椎体(26.2%)であり,80%が胸腰椎移行部であった.ロジスティック回帰分析では,MRI所見,胸腰椎移行部骨折が遷延治癒因子として挙げられた.
考察:受傷後3ヵ月の遷延治癒を来す因子として,MRI所見,胸腰椎移行部骨折が挙げられた.
結語:MRI所見,胸腰椎移行部骨折がある症例は,遷延治癒を来す可能性があることを念頭に置く必要がある.
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高桑 巧
2023 年 48 巻 1 号 p.
43-47
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:若年者の肩こりについて,その状況および背景を知るため,平成と令和で約20年の間隔をあけて同様の高校生へのアンケート調査を行ない,比較検討した.
対象と方法:対象は,旭川市内の私立高校一校の全生徒(15歳から18歳)で,平成11年に894名(男子514名,女子380名),令和2年に606名(男子341名,女子265名)で同様の無記名式のアンケート調査を行った.スマートフォンの普及など,高校生のライフスタイルの変化に合わせて質問の表現は多少の変更を加えた.
結果:時代が変わっても肩こりの有症率が高かった項目は,性別は女子,ストレスを感じている,人から姿勢が悪いと言われる,眼鏡等を使用しているという結果であった.
考察:若年者の肩こりには,ストレス因子,姿勢的因子,環境因子が入り交じり発症,慢性化しているものと考えられる.また医療機関の受診率が低く,今後は整形外科医を中心とした医療従事者が,積極的に治療や予防に関与していかなければならないと考えられる.
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髙田 信二郎
2023 年 48 巻 1 号 p.
49-53
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
ロボットリハビリテーションは,リハビリテーション医学とロボット工学の融合型である.2015年,装着型サイボーグHAL® 医療用下肢タイプ(以下HAL)が医療機器として薬事承認された.2016年,HALを用いた歩行訓練は,筋ジストロフィー,筋萎縮性側索硬化症,脊髄性筋萎縮症,球脊髄性筋萎縮症,封入体筋炎,遠位型ミオパチー,先天性ミオパチー,シャルコー・マリー・トゥース病の計8疾患を対象とした,医療保険適用「歩行運動処置」として保険収載されることになった.
2020年,内閣府はムーンショット型研究開発制度を創設した.その中核をなすものがサイバネティック・アバターである.2030年までには,人とよく似た振る舞いをすることができる人工知能,すなわち汎用人工知能を搭載したロボットが新たに登場する.著者は,前述の革新的なロボティックスの開発と社会実装は,障害者や高齢者の運動機能,精神機能,日常生活活動,社会参加,就労などに飛躍的な改善をもたらすことを確信している.
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三上 靖夫
2023 年 48 巻 1 号 p.
55-60
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
整形外科疾患の保存療法や術後の後療法に位置付けられてきたリハビリテーション治療は,少子高齢化による疾病構造の変化により,対象は全ての診療科が担当する疾患・障害・病態に広がった.急性期では,安静臥床がもたらす弊害と運動の有用性が明確になり,1日でも早くリハビリテーション治療を開始することが重要である.回復期リハビリテーション病棟では,治療成績や在宅復帰率が施設基準に直結することから,診療の質の向上が求められている.電気・磁気刺激療法やロボットを用いた訓練方法の普及により,従来より効率的な治療を進めることができるようになった.さらに,遠隔診療やArtificial Intelligence(AI)の実証試験も行われており実用化が期待される.平均寿命の延伸と人口構成の変化が,わが国の医療情勢に大きな変化を及ぼす.高齢者の肺炎や骨折の増加が見込まれ,早期に元の生活に戻さないと医療状況は逼迫する.リハビリテーション診療の重要性は,ますます高まると考える.
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廣田 亮介, 本望 修, 山下 敏彦
2023 年 48 巻 1 号 p.
61-64
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
我々は,骨髄間葉系幹細胞(以下MSC)の経静脈的投与による脊髄損傷に対する良好な基礎研究結果を踏まえ,亜急性期の脊髄損傷患者に対し自己MSCを用いた医師主導治験を施行した.2018年6月に薬事承認申請を行い,同12月に再生医療当製品の製造販売の条件および期限付き承認を得て(製品名:ステミラック® 注),保険診療を開始している.
脊髄損傷の治療において,急性期・回復期を問わず的確なリハビリテーション治療が良好な成績に必須であり,本治療を行う場合においても例外ではない.これまでリハビリテーションの目的は,残存機能をADL向上に結びつけることが主であった.ステミラック投与後は,損傷髄節周囲のみでなく,損傷髄節を超えた末梢においても機能回復を認めており,獲得目標の再構築が必要となる.今後症例を重ねていく上で,より効果的な介入のプロトコル確立を目指している.
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石谷 勇人
2023 年 48 巻 1 号 p.
65-66
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:肩関節周囲炎症例(以下PS)の満足度に影響する動作,肩関節可動域(以下ROM)のカットオフ値(以下COI)を算出した.
方法:PSと診断された27名に,日常生活動作(以下ADL)満足度,Shoulder36,肩ROMを測定し,部分的最小二乗法回帰分析にて算出した.
結果:満足度に影響する動作は,洗体,結帯,趣味動作であり,COIは,結帯は腰椎以上,屈曲141度,外転117度であった.
考察:本研究は,PSの満足度達成のための理学療法の一助になると考える.
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山口 哲, 佐治 泰範, 吉村 さつき, 松﨑 悟, 荒木 智也
2023 年 48 巻 1 号 p.
67-68
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:両側第1肋骨疲労骨折の2例を経験した.
対象と方法:2症例ともに男性で,初診時年齢は,2例とも15歳であった.診断は,単純X線像およびcomputed tomography(以下CT)で行った.
結果:パルス低強度超音波を使用した保存療法を行い,平均8.5週で競技復帰した.
考察:両側例では,本人も片側の既往があるため,比較的早期に受診する傾向があり,経過も良好であった.
結論:スポーツ活動へ復帰までの経過を報告した.
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久保田 聡, 久保田 亘
2023 年 48 巻 1 号 p.
69-70
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
通所リハ利用1年後の歩行機能の変化について検討した.2017年12月から2020年12月に通所リハを開始し,1年以上継続した50例を対象とした.ロコモ度3は,Timed Up and Go(以下TUG)テストが開始時と比べて6ヵ月後,1年後で有意に改善した.ロコモ度1・2は,改善傾向であったが,1年後も歩行機能は維持されていた.通所リハでの歩行訓練は,歩行機能が6ヵ月後には改善され,1年後においても維持されていた.
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青木 良仁
2023 年 48 巻 1 号 p.
71-72
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
福島県二本松市では,2016年に運動器検診が開始されるにあたり,学校内科医以外に学校運動器医を創設した.小学5年生と中学1年生に,整形外科専門医が運動器検診を直接行い,6年間で小学生1871名,中学生1978名,計3849名となった.専門医受診となった項目では,側弯疑いが最も多く,全体の8.2%を占めた.しゃがみ込み不可が2.4%,腰痛1.2%と続いた.四肢の異常や障害は,ほとんど見いだす事ができなかった.
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川村 正英
2023 年 48 巻 1 号 p.
73-74
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
2018年から2021年までに,当院を受診した胸骨骨折は22例23骨折で,受傷機転として,日常生活動作(以下ADL)での転倒や打撲によるものが14骨折あった.17骨折は単純X線撮影(以下X-P)にて診断したが,6骨折はX-Pで診断ができず,超音波検査にて診断した.当院にて,治療を完結したものは14例15骨折で,胸部固定帯装着にて全例骨癒合が得られたが,疼痛軽快まで3ヵ月以上要した症例が3骨折あり,骨癒合の遅延が原因と考えられた.
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新井 貞男
2023 年 48 巻 1 号 p.
75-76
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
JCOAは,平成28年度から会員の医療機関に対し,運動器検診後受診した児童生徒の検診結果アンケート調査を行っている.2021年度の調査結果を報告する.2,494例の報告を得た.診断は,側弯症が大部分であるが,そのほかオスグッド病や腰椎分離症,椎間板ヘルニア,野球肘等であった.診断後の事後措置は,指導観察が50.4%だったが,他専門医紹介が2.8%あった.今年度は,足関節障害の診断が急増し,新型コロナウイルス感染症の影響が考えられた.
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重島 晃史, 片山 訓博, 宮﨑 登美子, 山﨑 裕司, 相澤 徹
2023 年 48 巻 1 号 p.
77-78
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
6年間の運動器検診の結果について,小学1年時と小学6年時の2時点で,縦断的に比較検討した.対象は,小学生39名(男子24名,女子15名)であった.脊柱側弯症や,しゃがみ込み困難等の所見は,どちらの時期でもほとんど認められなかった.片足立ちは,小学1年時でふらつきを認めたが,小学6年時で有意な改善を示した.一方,体前屈による指の床接地は,どちらの時期でも4割弱の困難者を認め,柔軟性の有意な改善を認めなかった.
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山家 恭平, 鶴代 奈月, 日比野 直仁, 横尾 由紀, 和田 一馬
2023 年 48 巻 1 号 p.
79-80
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
手根管症候群(以下CTS)における,手根管開放術(以下OCTR)後の母指回内角度変化について検討した.対象者は,OCTRを施行された17例であり,術前および術後3ヶ月の患側母指回内角度の差を検討した.結果,母指回内角度の有意な増加が認められた.要因として,正中神経の除圧により,母指回内運動の動作筋である短母指外転筋,母指対立筋,および短母指屈筋の筋力が改善したためと考える.本研究の結果より,CTSにおけるOCTRは,母指回内角度を増加させる可能性が示唆された.
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田中 和彦
2023 年 48 巻 1 号 p.
81-82
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
回復期病棟の対象患者は,低栄養とサルコペニアを合併し,歩行再獲得や在宅復帰に影響している.入棟時のBody Mass Index(以下BMI)により,通常群,低栄養リスク群,低栄養群で検討した.結果は入棟時Functional Independence Measure(以下FIM)で,通常栄養群に対して低栄養リスク群と低栄養群が有意に低下していた.退院時FIM利得では,3群間で有意差を認めなかった.回復期病院での適切な栄養管理と積極的なリハビリにより,低栄養群においても正常栄養群と同様の改善が得られた.
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新田 晃弘, 岡田 諒, 林 二三男, 高原 茂之, 大歯 浩一
2023 年 48 巻 1 号 p.
83-84
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
化膿性脊椎炎は,症例によっては合併症のため固定術などの手術加療が困難で,保存加療となる例も散見される.保存加療では,長期の抗生剤投与と,腰痛を軽減し離床するため,固定性を有した装具が必要である.フィットキュア®・スパイン(アルケア株式会社.東京)は,胸部と腰部に2つの3点支持による固定で体幹の保持が可能であり,末期肝硬変患者の腰椎化膿性脊椎炎に対して,この装具を使用したところ,離床が可能であった.
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出口 憲市, 田村 靖明, 柳澤 幸夫, 日比野 直仁, 千川 隆志
2023 年 48 巻 1 号 p.
85-86
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
近年,ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)という疾患概念が提唱され,サルコペニアは,その一因と考えられている.サルコペニアのトレーナビリティは低いと報告されているが,本研究では,ステップエクササイズ(以下StEx)トレーニングによる運動効果を検討した.トレーニング前後の骨格筋量指数を算出した結果,サルコペニアの骨格筋量が有意に増加した.StExは,サルコペニアの改善に効果があることが示された.
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橋本 祐司, 島田 祐希, 田村 靖明, 出口 憲市, 千川 隆志
2023 年 48 巻 1 号 p.
87-88
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
腰部脊柱管狭窄症(以下LSS)患者は,様々な神経症状が影響し,体幹前傾位であることが多いが,動的立位バランスについて検討している報告はない.LSS患者を対象として,体幹前傾位の程度と動的立位バランスとの関係について検討した.その結果,体幹前傾位が大きいほど動的立位バランスは低下していた.このことから,体幹前傾姿勢による股関節伸展モーメントの増加が,動的バランス能力の低下に影響したと考えられる.
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遠藤 健次
2023 年 48 巻 1 号 p.
89-90
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
小骨片を伴ったPIP関節背側脱臼,および側副靱帯損傷等の外傷,あるいはスワンネック変形の保存的治療として,伸展制限可能なリングスプリント固定は,その代表的治療方法の1つである.この度,整形外科外来診療の中で,診療時間の負担を軽減できる熱可塑性スプリントによるリングスプリント療法を実施したところ,有意義であるため報告する.
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宮﨑 友望, 出口 憲市, 田村 靖明, 柳澤 幸夫, 千川 隆志
2023 年 48 巻 1 号 p.
91-92
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
ロコモティブシンドロームの原因の一つにサルコペニアがあり,転倒率の上昇が報告されている.転倒と関連するバランス能力と,骨格筋量を増加させるステップエクササイズトレーニングとの関連は明らかにされていないため,サルコペニア該当者を対象に,骨格筋量の変化がバランス能力に及ぼす影響を検討した.その結果,関連性が認められず,サルコペニアの転倒率の改善には,バランスに特化した運動が必要である可能性が示唆された.
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半田 裕貴, 大森 弘則, 野坂 小百合
2023 年 48 巻 1 号 p.
93-94
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
国際衝撃波治療学会(以下ISMST)による体外衝撃波治療の適応は,疾患によって推奨度が異なっている.当院の短期治療成績を,疾患別にISMSTの推奨度と比較した.当院の疼痛の改善度や有効率では,推奨度Aのジャンパー膝より,推奨度Bのゴルフ肘や推奨度Cの手関節腱鞘炎の方が高かった.体外衝撃波治療の適応疾患の中には,ISMSTの推奨度が治療効果と即しない場合がある.
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酒巻 忠範
2023 年 48 巻 1 号 p.
95-96
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
小学生の腰椎分離症の治療で、体幹硬性装具による固定を継続したにもかかわらず,偽関節となった4症例を対象とし,すべり症に対する装具療法の意義を考察した.平均経過観察期間は4年6ヶ月で,4例全員にすべり症への進行は無かった.新鮮分離の治療では,たとえ骨癒合しなくても,スポーツの休止と固定で,すべりは防止できる可能性があり,装具療法による局所制動は意味がある.
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野々瀬 翔吾, 出口 憲市, 田村 靖明, 千川 隆志, 柳澤 幸夫
2023 年 48 巻 1 号 p.
97-98
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
ロコモティブシンドロームと転倒との関係が注目されており,視覚情報が,姿勢制御を行うための情報収集手段として重要とされている.そこで,視覚に関連する室内照度の違いが,姿勢安定度評価指標(以下IPS)に及ぼす影響を検討した.0 luxと30 luxおよび100 lux(一般推奨照度)との間に,有意差が認められた.視覚からの情報量の低下により,バランス能力が低下したことが考えられ,暗所の環境整備への配慮が重要である可能性が示唆された.
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島田 祐希, 眞鍋 裕昭, 橋本 祐司, 後藤 強, 千川 隆志
2023 年 48 巻 1 号 p.
99-100
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
腰部脊柱管狭窄症では,サルコペニアの有病率が高いが,四肢骨格筋量の術後変化については十分明らかにされていないため,術式別に四肢骨格筋量の術後変化を検討した.腰椎固定術群では,除圧術群と比較し骨格筋指数変化量が有意に低値を示した.その要因として,術後の運動制限に伴う退院後の身体活動量の違いが影響した可能性がある.
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里浦 雅也, 小西 竹則, 山家 恭平, 鶴代 奈月, 日比野 直仁
2023 年 48 巻 1 号 p.
101-102
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
中指ばね指の腱鞘切開術施行後の,PIP関節屈曲拘縮を呈した症例31指に,術翌日より,関節可動域訓練にsafety pin splintを加えたハンドセラピィを施行し,その効果を検討した.評価として,PIP関節自動伸展角度測定を,術翌日,術後1週,2週,1カ月,2カ月に実施した.その結果,術翌日に認められた伸展制限は,改善傾向を示した.したがって,関節可動域訓練に加えて,splint療法の有効性が示唆された.
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藤田 涼兵, 大田 耕司, 大久保 満, 天野 裕紀
2023 年 48 巻 1 号 p.
103-104
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
上腕骨外側上顆炎63例63肢に対し,拡散型圧力波(Radial Shockwave Therapy,以下RSWT)を施行し,疼痛緩和・上肢機能面においての有効性を,自覚的疼痛尺度・筋力測定を用いて検討した.施行回数を重ねるごとに,疼痛・上肢機能は約87%の症例で改善を認め,治療効果を得られた55例中50例の約92%の症例が,半年以降も効果を維持できた.また,3回目施行以降に有意にRSWTの効果を認めた.
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野坂 小百合, 大森 弘則
2023 年 48 巻 1 号 p.
105-106
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
当院は有床診療所だが,手術支援ロボットMako® を導入した.そこで,ロボットを用いた手術の器械数と手術工程数を,通常の手術やナビゲーションの手術と比較し,看護師の業務負担を検討した.また看護師へのアンケートで,看護師の意識変化についても調査した.結果として,ロボットの手術は,通常とナビゲーションの手術よりも器械数・手術工程数は少なく,看護師の業務負担ならびに導入前の心的不安は軽減していた.
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堂井 康平, 米澤 幸平, 尾畑 雅夫, 山崎 隆幸, 西川 正志
2023 年 48 巻 1 号 p.
107-108
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:人工膝関節全置換術(以下TKA)後,早期からの電気刺激療法および超音波療法の効果について検証した.
対象と方法:当院でTKAを施行した94例109膝を,物療群と対照群に分けて,2群間の術後経過を比較した.
結果:対照群と比較して,物療群は膝関節伸展可動域の改善が有意にみられた.
結語:TKA術後早期からの物理療法が,膝伸展制限の改善に有効である可能性が示唆された.
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小室 元
2023 年 48 巻 1 号 p.
109-110
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的:運動器検診の啓発と,運動器障害に無理をしないことを理解させる映像を作成し,啓発を図る.
方法と結果:学童保護者へのヒアリング後に動画を作成し,視聴アンケートを施行した結果,映像視聴は,理解に有効であり,動画解説は,成人よりも学童のほうが許容度は大きかった.整形外科への期待は治療効果であるが,しきいが高いということが示唆された.
結語:平易な動画は,理解に有効である.
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中川 種史, 大村 文敏, 森山 正敏, 田中 真希, 奥村 栄次郎
2023 年 48 巻 1 号 p.
111-112
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
コロナ禍においては,自宅滞在時間増加,運動機会の減少により,骨粗鬆症や,ロコモティブシンドロームの発生が予想されている.2019年東京都臨床整形外科医会共同研究として,骨粗鬆症とロコモ5を調査報告した,今回,その症例の3年後の骨密度,ロコモ5の変化を,生活習慣のアンケートとともに調査した.腰椎,大腿骨頸部骨密度は,3年間の治療により上昇し,ロコモ5の悪化は抑えられ,特に運動習慣の継続は有効であった.
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沖本 信和
2023 年 48 巻 1 号 p.
113-114
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
2021年7月に開催された,東京オリンピック男子ハンドボールチームでの活動内容を報告する.主な業務内容は,1メディカルチェック,2傷害治療,3アンチドーピング対策,4コロナ感染対策であった.
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齋藤 慎一郎
2023 年 48 巻 1 号 p.
115-116
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
内反小趾は,外反母趾と合併することも多いが,手術治療についての報告は比較的少ない.第5趾の疼痛を訴える症例に対し,第一中足骨遠位直線状骨切り術(Distal Lineal Metatarsal Osteotomy,以下DLMO法)と同時に,第5中足骨内側移動骨切り術を施行した症例について検討した.術後の矯正,臨床症状の改善ともに良好な結果が得られ,有効な治療法と考えられた.
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遠藤 健次, 正木 國弘, 吉田 成仁, 田村 阿津王, 岡田 祐司, 橘 敬三, 大田 耕司, 酒巻 忠範, 加藤 憲治
2023 年 48 巻 1 号 p.
117-118
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
徳島県臨床整形外科医会に属する施設において,脊椎圧迫骨折の現状をアンケート調査した.過去の報告とほぼ同様な集計結果が得られた.生活習慣病のなかで多い糖尿病は,脊椎圧迫骨折の危険因子でもあることが推察された.
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内藤 健太, 神崎 智大, 諸澄 孝宜, 橋川 拓史, 寺門 淳
2023 年 48 巻 1 号 p.
119-120
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
目的と方法:コロナ禍での外来患者の運動器リハビリテーション(以下リハ)継続維持を目的に,リハ来院予約を休止した109名の患者に電話で状況を聴取した.リハ継続の必要性を説明し,後日リハ再開率を調査した.
結果:電話聴取した109名のうち,リハを再開したものは43名(39.4%)であり,電話をかけなかった患者のリハ再開率(8.6%)に対し有意に高かった.
考察:外来リハ継続における電話聴取には,一定の効果があった.
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原 俊之, 三宅 雄太, 住友 健史, 岡田 祐司, 真鍋 佳哲, 日岡 明美
2023 年 48 巻 1 号 p.
121-122
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
当院の整形外科患者139名を対象として,ロコモ度と身体機能および認知機能との関連性を検討した.統計は,ロコモ度と握力,歩行時間およびMini Mental State Examination(以下MMSE)との関連は,spearmanの相関係数を用いて分析した.ロコモ度と10 m歩行時間との間には,正の相関が認められた.ロコモ度と握力,ロコモ度とMMSE間には,弱い負の相関が認められた.ロコモの進行防止には,下肢の筋力強化が重要であることが示唆された.
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河瀬 美砂, 伊坂 陽, 木村 朋代, 田村 篤史, 廣瀬 友彦
2023 年 48 巻 1 号 p.
123-124
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
当院の,骨粗鬆症性骨折患者に対する薬物療法の現状調査を行った.2020年6月から2021年5月までに,入院した骨粗鬆症性骨折患者96名(大腿骨近位部骨折:N群48名,椎体圧迫骨折:C群32名,橈骨遠位端骨折:R群16名)を対象とした.治療継続率は,N群40%,C群75%,R群63%であった.治療導入時に患者背景に応じた薬剤を選択し,患者・家族指導を行うことで,骨粗鬆症継続率が向上すると思われた.
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森 和之, 田村 靖明, 出口 憲市, 柳澤 幸夫, 千川 隆志
2023 年 48 巻 1 号 p.
125-126
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
近年,増加しているフレイルのバランス能力は,低下している可能性があるが,十分に明らかにされていない.そのため,急性期治療が終了したフレイル対象患者と,健常高齢者とのバランス能力を比較検討した.フレイルは,健常高齢者と比較して,バランス能力の低下が認められた.その原因の一つとして,急性期治療に伴うフレイルサイクルが考えられるが,今後は,転倒に関連する因子との検討をする必要があると考えられた.
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福島 楓, 都丸 泰助, 大森 章一, 篠原 裕治, 寺門 淳
2023 年 48 巻 1 号 p.
127-128
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
認証あり
いわゆる,足関節捻挫における,骨軟骨損傷の合併の有無を疑う臨床所見は何であるかを検討した.足関節捻挫患者のうち,Magnetic Resonance Imaging(以下MRI)を施行した67名のカルテを後方視的に調査し,27名(40.2%)に骨軟骨損傷の合併を認めた.歩行荷重時に疼痛の増大を訴える患者に限ると,45名中22名(48.9%)に認めた.いわゆる足関節捻挫においては,歩行荷重時痛を訴える患者は,骨軟骨損傷の合併を疑うことが必要である.
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三宅 雄太, 原 俊之, 住友 健史, 岡田 祐司
2023 年 48 巻 1 号 p.
129-130
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
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明らかな外傷歴のない,両側大腿骨頸部骨折の1例を経験した.80歳女性で,2020年11月中旬より左股関節痛が出現した.11月20日の来院時のX線撮影(以下XP)画像では骨折は明らかではなく,翌日歩行困難となり,computed tomography(以下CT)にて左大腿骨頸部骨折を認めたため,12月2日左人工骨頭置換術を施行された.その後,2021年3月10日より右股関節痛が出現し,右大腿骨頸部骨折の診断により2021年4月5日右人工骨頭置換術が施行された.術後腓骨神経麻痺を合併したが,T字杖歩行可能である.
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天野 裕紀, 大田 耕司, 大久保 満, 藤田 涼兵
2023 年 48 巻 1 号 p.
131-132
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
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若年アスリートの膝伸展機構障害に対する圧力波治療(Radial Shock Wave Therapy,以下RSWT)は,疼痛コントロールに有効な治療方法である.当院でRSWTを実施した44例の治療回数と持続期間を検討した結果,17例で3ヶ月以上の効果が持続していた.RSWTをアスリートの競技予定に合わせて行うことで,パフォーマンスの維持が可能であると考えた.
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山本 健太, 岩澤 智宏, 石吾 亘, 市村 和徳, 西能 健
2023 年 48 巻 1 号 p.
133-134
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
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目的:前十字靭帯再建術後早期の関節可動域を,半月板縫合の有無や術式の違いから比較検討する.
方法:半腱様筋腱を用いた再建術(以下ST-DB)73例と膝蓋腱を用いた再建術(以下BTB)12例を対象に4週,12週時の膝ROMを測定し,半月板縫合の有無,術式の違いを比較した.
結果:術式の比較で,ST-DBに有意な伸展制限がみられた.
結論:ST-DBは伸展制限が残りやすく,早期アプローチが重要である.
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福島 駿, 西能 健, 信清 正典, 青木 雅人, 大鳥 精司
2023 年 48 巻 1 号 p.
135-136
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
ジャーナル
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今回,胸腰椎椎弓切除術において,ロピバカインおよびトラネキサム酸を閉創前に創部周囲皮下筋層へ局所投与し,術後鎮痛,出血に与える影響を検討した.投与群と非投与群での術後鎮痛薬使用回数,ドレーン出血量,術後Hb値の変化を比較した.投与群では,術当日の鎮痛薬使用回数は有意に少なかったが,術後出血に関しては有意差を認めなかった.ロピバカインの局所投与は,術後早期鎮痛軽減に有効であることが示唆された.
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田村 靖明, 出口 憲市, 橋本 祐司, 島田 祐希, 千川 隆志
2023 年 48 巻 1 号 p.
137-138
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
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認証あり
変形性関節症は循環器疾患の危険因子になるが,腰部脊柱狭窄症と循環器疾患との関連性は十分検討されていないため,腰椎除圧術を施行した患者を対象に,腰椎除圧術前後の動脈スティフネスの変化を検討した.手術後に,上腕足首間脈波伝播速度は,有意な改善を認めた.その要因に,術後疼痛軽減に伴う交感神経活動の適正化などが考えられ,腰椎除圧術は,循環器疾患発症リスクの低減に有効である可能性が示唆された.
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吉田 正之, 青木 雅人, 信清 正典, 川口 善治, 西能 健
2023 年 48 巻 1 号 p.
139-140
発行日: 2023年
公開日: 2023/07/29
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目的:側方経路(腰椎)椎体間固定術(lateral lumbar interbody fusion,以下LIF)の,手術侵襲が及ぼす体幹深層筋への影響を明らかにすること.
方法:腰椎固定術施行患者35名を対象に,腹部圧力,腸腰筋筋力を測定した.
結果:LIF施行者は,腹部圧力と左腸腰筋筋力が,術後1週時に有意に低下した.
結論:LIF適応者は,体幹深層筋に対し,術後変化を予測した理学療法介入が重要である.
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