日本臨床整形外科学会雑誌
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10カ月間で3部位の疲労骨折を来した中学生野球選手の1例
山口 哲佐治 泰範稲田 徹吉村 さつき
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2019 年 44 巻 1 号 p. 9-14

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抄録

緒言:10カ月間で3部位の疲労骨折を来した中学生野球選手の1例を報告する.

症例:2017年2月下旬に腰痛を訴える14歳(男子中学生)の野球選手が当院を受診した.Magnetic resonance imaging(以下MRI)を行い第5腰椎分離症と診断,硬性コルセットにより加療した.3カ月後にcomputed tomography(CT)で骨癒合を確認した上で6月中旬から野球に復帰した.次に同年8月上旬,左坐骨部痛が出現した.MRIにて左恥骨下枝疲労骨折と診断,理学療法の後,同年10月下旬に野球に復帰した.さらに同年12月中旬,右殿部痛を訴えるようになった.MRIで右大腿骨頚部疲労骨折と診断,免荷し運動療法とパルス低強度超音波による加療の後,ランニングを開始し野球に復帰した.

考察:スポーツに伴い繰り返し痛みを訴える症例では,複数回の疲労骨折を念頭に早期に診断し加療するとともに,指導者との連携,練習環境や運動量などに注意し再発を防ぐ必要がある.

結語:稀な疲労骨折の症例の発症の要因とスポーツ活動への復帰までの経過を検討し報告した.

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