認知心理学研究
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原著
他者観察が変化検出課題成績と不安状態に及ぼす効果
金谷 英俊永井 聖剛
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2022 年 19 巻 2 号 p. 29-38

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抄録

他者による課題遂行の観察が,実験参加者の変化検出課題成績と不安状態に及ぼす効果について検討した.交互に呈示される画像間で変化している部分を見つける変化検出課題を参加者に課し,検出までにかかった時間を測定した.実験1では参加者は,他者1名が参加者の斜め後ろに立ち,その課題遂行を観察する(他者観察あり条件),もしくは参加者のみ(他者観察なし条件)のいずれかの状態で課題を遂行した.その結果,他者に観察されていると観察なしの場合よりも,変化検出時間が有意に長くなった.続いて実験2で,人間の他者の代わりにビデオカメラを通して課題遂行の様子を観察した場合にも,カメラ観察なしの場合と比べて変化検出時間が長くなり,STAI状態不安尺度の得点が高くなった.以上の結果は,他者による観察によって参加者の不安が増大することにより,課題遂行時に視覚的注意が機能しにくくなる可能性を示唆するものである.

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© 2022 日本認知心理学会
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