認知心理学研究
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原著
思考発話法における発話量の個人差とワーキングメモリ容量の関係
長谷川 凌川島 朋也篠原 一光
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2024 年 21 巻 2 号 p. 47-58

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抄録

思考発話法とは,実験参加者に課題を行うと同時に課題遂行中の考えをすべて声に出すことを求めることである.本研究は,思考発話量の個人差とワーキングメモリ容量の関係および思考発話が課題成績に与える影響を調査した.実験では,参加者は提示された複数の漢字に共通する漢字一文字を考える遠隔連想テストを,心に浮かんだことを声に出して言いながら行った.また言語ワーキングメモリスパン課題を行い,参加者をワーキングメモリ容量高群と低群に分けた.その結果,ワーキングメモリ容量高群は課題の難易度が高くなると発話量が減少するのに対し,ワーキングメモリ容量低群は発話量が増加したことから,ワーキングメモリ容量によって課題難易度が変化した際にどのように発話するのかが異なる可能性が示唆された.また,発話によって解答時間が遅くなることが示され,発話が課題遂行を妨害する可能性があることが示唆された.

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© 2024 日本認知心理学会
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