抄録
本研究は,情報源の誤帰属の発生を,出来事直後の自由再生が抑えることが出来るかどうか調査した.60名の参加者の半分が情動的にストレスフルなビデオを,残り半分が中性的なビデオを見た.ビデオを見た直後,参加者はビデオの内容についての自由再生を行った.その後,参加者はビデオの中の詳細についての誤導情報を含んだ質問紙に回答した.その2日後に,参加者は情報源モニタリングテストに回答した.そのテストは,ビデオで提示された詳細,質問紙で提示された詳細,その両方で提示された詳細,もしくはどこにも提示されなかった詳細について,その記憶の情報源を選択するよう求めるものであった.結果は,自由再生が情報源誤帰属の発生を減少させること,ビデオの要旨に関わるような詳細においては,情動条件の方が中性条件よりも情報源誤帰属の減少が顕著なことを示した.これらの結果は,特に目撃した出来事の印象的な側面に関わる詳細において,出来事直後の自由再生は目撃記憶を頑健にすることを示唆している.