認知心理学研究
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原著
作動記憶における視覚的リハーサルの検討:視覚パターンテストにおける再生課題と再認課題の比較から
須藤 智兵藤 宗吉
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2006 年 3 巻 2 号 p. 149-156

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抄録
本研究は,作動記憶における視覚的リハーサルと空間的リハーサルのメカニズムの分離可能性を明らかにするために,空間的リハーサルを妨害することが報告されている二次課題が視覚的リハーサルに対して妨害効果を示すかどうかを二重課題法を用いて検討した.実験Iでは,視覚パターンテストの空間・運動性成分が含まれる再生課題に対する空間タッピング課題と視線移動課題の妨害効果を検討した.その結果,二つの二次課題は共に妨害効果を示した.実験IIでは,一次課題をより視覚的な課題とするために Phillips & Christie (1977a,b) の手続きに従って,視覚パターンテストの再認課題に対する空間タッピング課題と視線移動課題の妨害効果を検討した.その結果,それら二つの二次課題は共に,一次課題に対して妨害効果を示さなかった.実験I・IIの結果を比較すると,視覚的リハーサルに対して空間タッピング課題と視線移動課題は妨害効果を示さないことが明らかになった.空間的リハーサルを妨害する二次課題が視覚的リハーサルを妨害しない結果からは,視空間的リハーサルは視覚的リハーサルと空間的リハーサルに区分される可能性があるとともに,異なるメカニズムである可能性が示唆された.
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© 2006 日本認知心理学会
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