認知心理学研究
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原著
避難情報の表現が危険認知に与える影響
田中 孝治加藤 隆
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2011 年 9 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

危険が迫っているにもかかわらず,住民がそのことを軽視し,避難情報を無視しがちであることが先行研究で報告されている.本研究では,避難情報の表現方法が危険認知に与える影響について三つの実験を行った.実験1a・1bでは,“事態の重大性”と“状況の切迫感”を表す語に,それらを強調する副詞を加えることの効果について検討を加えた.その結果,聞き慣れない副詞が使用された場合に,避難の必要性がより効果的に強調されることが示された.実験2では,避難情報の格上げが明示された場合に,住民がより避難の必要性を感じることが示された.これらの結果は,何か尋常ならざることが起きつつあるとの印象を与えるように,避難情報を慎重に考案することが重要であることを示している.

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© 2011 日本認知心理学会
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