日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
内視鏡的摘除後に特異な再発形態を呈した直腸sm癌の1例
南 盛一山本 康弘小林 達男河野 透
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2007 年 60 巻 8 号 p. 475-479

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抄録
症例は84歳の女性. 直腸ポリープに対しポリペクトミーを施行し, 病理組織学所見は高分化型腺癌でsm1, ce (+), ly0, v0であったが, 高齢のため経過観察としていた. しかし, 3年目以降大腸スクリーニングは行っていなかった. 約10年後, 便秘, 下血が続き当科受診. 直腸指診で下部直腸に全周性の壁硬化を触知し, 大腸内視鏡検査では表面は顆粒集簇様, 敷石状の粘膜下腫瘍を呈した肛門縁から約15cmにわたる全周性の狭窄をみとめた. 生検ではGroup4であり, 直腸癌Rb, circ, A, N0, M0, cStageIIの診断でマイルズ手術を施行した. 病理組織学所見は粘膜下のリンパ管内病変が主体の高分化腺癌で, 大腸取扱い規約に従うと, RbPRa, circ, type4, 18.0×8.5cm, well, pA, ly3, v0, pN3, M1 (No 216), fStageIVであった. これは, ポリペクトミーの際にリンパ管内に遺残した癌細胞が粘膜下のリンパ管を腸管軸方向に進展し, 広範な敷石状の粘膜下腫瘍の形態を呈したと考えられた.
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© 2007 日本大腸肛門病学会

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