2008 年 61 巻 3 号 p. 123-126
症例 57歳,男性.腹痛,下痢を主訴として内科に受診した.造影骨盤CTにて直腸S状部に全周性狭窄をともなった腫瘍を認めた.下部消化管内視鏡検査より中分化から低分化型腺癌と診断された.S状結腸直腸切除,人工肛門造設を行った.摘出標本は6.5×3.5cmの全周性2型の腫瘍であり,病理組織学所見は中分化から低分化型腺癌に扁平上皮が混在した腺扁平上皮癌,pSE, pN1, sH0, sP0, ly2, v1, fStage IIIaであった.術後2年7カ月で無再発のため人工肛門閉鎖術を行った.大腸腺扁平上皮癌は全結腸腫瘍の約0.1%にみられ,予後不良とされている.本症例は現在外来経過観察中であるが今後も厳重なフォローが必要と思われた.