日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
痔核術後に毒素性ショック症候群を合併した1例
平澤 俊明松尾 恵五赤木 一成高石 祐子中島 康雄堤 修浜畑 幸弘辻仲 康伸
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2008 年 61 巻 3 号 p. 132-136

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抄録

毒素性ショック症候群(toxic shock syndrome; 以下TSS)は,黄色ブドウ球菌が産生する外毒素により,突然の高熱,全身紅斑,血圧低下などの多彩な症状を呈し,重症例では急激に多臓器不全をきたし死に至る疾患である.今回我々は,痔核術後にTSSを合併した症例を経験したので報告する.症例は39歳男性.内痔核の結紮切除術施行後に発熱,全身のびまん性の紅斑,咽頭,眼瞼結膜の充血が出現した.術後の創部に感染徴候はなく,重症薬疹を疑ったが,その後創部および便の培養からMRSAが検出されたためMRSAによるTSSと診断した.持続血液濾過透析およびバンコマイシン投与を行い軽快した.本疾患は進行が急激で重症化しやすく治療開始が遅れると致命的となるため,術後に39度以上の発熱,皮膚の紅斑,ショックなどを来たした症例ではTSSを疑い早期に治療を開始すべきであると考えられた.

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© 2008 日本大腸肛門病学会

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